「就労継続支援」という名の奇妙な真実について

※ご注意事項:以前の自分の投稿を「誰か」風に編集したものです。色々作ってみたら面白かったので掲載しますが、何かしらの大人の事情があれば削除するかと思います

元記事↓

https://4re.jp/n/n7ec240ba74ba

最近、妙に古いジャズのレコードを聴いているうちに、ふと、「就労継続支援B型事業所とは、いったい何なのだろう」という、ごく基本的な問いが、今さらながら頭をもたげてきた。それはまるで、長年使っていた冷蔵庫の奥から、賞味期限切れの、見覚えのない缶詰を見つけたような、ささやかながらも奇妙な発見だった。

僕の知る限り、この「就労継続支援」という名前を聞いて、そのシステムを簡潔に説明できる人は、世の中の人口比で言えば、たぶんごくマイナーな集団に属する。A型だとかB型だとか、あるいは移行支援だとか。その違いは、太陽と月が、それぞれ別のタイミングで空を支配している、というのと同じくらい、多くの人にとってどうでもいいことなのだ。

だが、僕が今、少しばかり腑に落ちているのは、この「就労継続」というネーミングの持つ、ある種の諦念と同時に、確固たる真実性だ。

B型事業所は、ざっくりと言ってしまえば、一般的な企業という名の硬質な壁にぶつかってしまった人たちが、工賃を受け取りながら、そこをもう一度目指す、あるいは目指さなくてもいい場所、ということになる。A型との決定的な違いは、雇用契約がないことだ。

雇用契約がない、というのは、言い換えれば、休みたいときに休める、ということだ。

これが重要なのだ、と僕は思う。

就労継続支援は、働くという行為を、人生という名の長い旅路の上で、どうにかして継続させるための支援を行う場所なのだ。それは仕事のために、生活のリズムを整え、心の摩耗を補修し、チューニングを施すこと。その逆も真なりで、生活や心の安寧のために、仕事という名の、比較的安定した錨を下ろすことでもある。

継続することのリズム

最近、僕の頭の中で繰り返し鳴っているのは、この「リズム作り」というテーマだ。

仕事であれ心であれ、どちらが先行しても構わない。しかし、一般就労を目指すにせよ、目指さないにせよ、この生活のリズムを整える、という作業は、僕たちが想像する以上に、根源的な意味を持っている。

たとえば、毎日、誰にも邪魔されない時間に、コーヒーを淹れるという行為を継続する。すると、その「なにか」が習慣化され、結果として、その人の生活はごく自然な形で整いはじめる。僕がフォーリーで提供したいと思っているのは、この「なにか」なのだ。

僕たちの事業所、フォーリーのスタッフときたら、介護や福祉の経験を持つ者は、サビ管のT氏を除けば、ほぼいない。つまり、僕たちに提供できる「なにか」は、介護や福祉の専門知識とは無関係な、「仕事の楽しさ」や、何の変哲もない「雑談」のようなものに、どうしたってなってしまうような気がしている。

鶏が先か、それとも卵が先か

それでも、僕には確信がある。いずれ、利用者さんそれぞれが、それぞれ独自の道を歩み始めてくれるだろう、という、根拠のない、しかし確かな確信が。

それはなぜか? 理由はごくシンプルだ。僕たち自身が、仕事も雑談も心から楽しいと感じているからだ。

スタッフ同士の会話も、利用者さんとのやりとりも、皆が顔を突き合わせての作業も、とにかく楽しい。まるで、昔、僕が夢想していたような、そんな職場に、僕たち自身が身を置いている。様々な気づきがある。異なる視点から物事を見る、という体験は、まるで、聞いたことのない古い曲を初めて聴いたときのように、とても新鮮だ。

僕個人について言えば、この事業所に顔を出さないと、どうにも落ち着かない状況に陥っている。これはかなり深刻な話だ。

結局、就労継続支援B型の役割とは、いったい何なのだろう? 結論は、今でも、冬の雨のように曖昧なまま、悩み続けている。

仕事をこなすことで生活のリズムが安定するのか、それとも生活リズムが安定しているから仕事ができるのか? 哲学的な問いかけと同じくらい、答えは不確かだ。

僕自身の経験から言えば、僕の場合は「仕事」が先にあったことで、その後に「生活のリズム」が静かに安定してついてきた。だが、それがすべての人に当てはまらないことも知っている。だから、はっきりとした結論は言えない。

しかし、フォーリーという場所の姿勢に関して言えば、僕たちは「まず仕事をこなすことで、生活のリズムが静かに出来上がっていく」という、やや前のめりな方針を取ることになる。

B型を選択する利点は、「仕事をするけれど、本当にキツイときは休める」という、その奇妙な安全弁にある。その利点を大いに活用して、仕事をしながら、自分のペースで、生活のリズムをそっと整えていってもらえたら、と僕は思う。

そして、いつの日か、店舗という名の、より社会に近い場所を構え、そこで利用者さんがものづくりと販売を往復する。それはまるで、昼と夜をまたぐ、静かなワルツのようなものだろう。そこまで辿り着けたなら、フォーリーでの「継続」を経験した彼らは、きっと、世界のどこでも、自分の足で立つことができるようになっているだろう。

それが、僕たちが目指している、遠い汽笛のようなものなのだ。

福岡県遠賀郡岡垣町 就労継続支援B型事業所「フォーリー」

https://4re.jp/

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